こんにちは。
みなさんは,何か大事な予定を控えている時に,それが自分の意に沿わない方に事が進んでしまいそうな気がしていて,当日,現実にその予感が的中してしまった経験ってないでしょうか。
簡単に言うと「いやな予感が的中した」ということです。
今回は,そんなことについて書いてみたいと思います。
いやな予感が的中する現象は,「予言の自己成就」と言い,アメリカ人社会学者のロバート・K・マートンが提唱した概念だそうです。
そして,「予言の自己成就」で事例に出されるのが,銀行が倒産の危機に陥った話です。
電車の中で女子高生が,ある銀行に就職する友人を茶化すつもりで,「その銀行は危ないらしいよ」と言った。それを聞いた別の友人が真に受けて,そのことを家族へ話したところ,そこから噂が広がり,その銀行の預金を引き出す動きが加速したそうです。その結果,銀行が現実に倒産の危機に陥ったというもの。
その仕組みとして,人は根拠のない見立てや思い込みから,無意識にそれに沿った行動をとるため,その思い込みが現実となるのだ,と説明されます。
私も人前でお話する機会があり,事前に「なんだかグダグダになりそうだな」という予感がしていて,当日,実際にそうなった経験を思い出しました 笑
少し異なりますが,「ゴーレム効果」と呼ばれるものもあります。アメリカの教育心理学者であるロバート・ローゼンタールが提唱した概念です。
それは,ある人物に対して周囲の期待が低い場合、その人物は周囲の期待通りにパフォーマンスが低下してしまうというもの。
その例としては,上司が部下の能力を実際よりも低く伝えられていた場合,期待をされないその部下の業務成績が,実際に低くなってしまうというようなことです。
どうしてそのような現象が起こるのでしょうか。私なりに考えてみます。
通常,私たちは,自分の意思で行動し,考えや思いも自身で抱いていると認識していますよね。その一方で,人間の行動の8割以上は無意識下で行われているという説もあります。
割合は別として,私たちが通勤,通学で歩いている時に,歩幅を常に計算して足を踏み出しているか,また,食事をする際に,食物の形や固さを考慮して,咀嚼する回数をその都度決めているのか考えてみると,私たちの行動の多くが無意識に行われていることは明らかでしょう。
思考についても,人間は一日2万回以上思考していると言われていますが,すべて自身で意図して思考し処理をしているなんてあり得ませんね。
思いや予感といった思考も,私たちの意思とは関係なく湧いてきていて,それは無意識下にある信念や強い思いのフィルターを通して出てきたもの。
そうすると,私たち各々が,その無意識下のフィルターを通して,その信念や強い思いに沿うように,目の前の事象を解釈していると考えられないでしょうか。
私の場合だと,自分は「口下手,説明下手」という認識がある。それは,これまでの人生の過程で,実際にうまく言葉にできなかったり,それを指摘されたりしたことから傷つき,無意識下には「自分が話しても理解してもらえない」といった強い思いを持っているとします。
すると,その強い思いから「話ががグダグダになるかも」という予感(恐れ)が湧いてくる。そして,実際に当日,ちょっと説明につまづいたりする度に,「ほら,やっぱりダメだ」と無意識下の思いが上塗りされていくといった。
でも,私の説明を聞いた一部の方からは,「説明が丁寧で解りやすかった」なんて言われたりもする。それは,その方はその方で,自身のフィルターを通して,私の説明を聞いているから,その方にはよく映ったということ。
「ゴーレム効果」でいう期待されない部下は,上司のそっけない態度によって,部下自身の無意識下にもともとあった,否定的な思い込みが上塗りされて,徐々に業務成績が低くなったということかもしれません。
なぜなら,部下に「自分はできる」という強い思いがあれば,上司のそっけない態度に対して「おもしろくない上司だな」という思いに至り,その否定的な影響は受けないでしょうから。
「予言の自己成就」の例にあげた銀行も,盤石な経営基盤があれば,地域住民の預金の引き出し程度で経営は揺るがないかもしれないわけで。
そうすると,上司の期待しない態度や,地域住民の疑念からくる預金の引き出しは,ひとつの引き金になったにせよ,もともとそのような自己認識や経営基盤の脆弱さが,部下や銀行に備わっていたと考えても不思議ではありません。
それと同じように,私たち自身の内面には,認識できていない価値観や強い思いがあり,それを目の前の事象に当てはめて現実として認識しているのです。
ですので,♪ 気づきの相談 ♪ では,あなたの無意識下にある思いを一緒に探して,必要のないものは手放せるようにお手伝いしています。
そうすることで,自分を苦しめていると思っていた目の前の現実が変わっていく(厳密には,あなたに起こる出来事の捉え方が変わっていく)のです。
無意識下にある否定的な価値観や思い込みが癒され,それを手放していくと,私たちは,目の前に起こったことに対して,自身の解釈をあまり入れず,よりありのままを捉えるようになっていきます。
そうして過ごしているうちに,私たちが,「個」として別々に存在しているだけでなく,その前提として,すべてが繋がって既に存在を受け入れられている,という気づきをもたらしてくれたりする。
そして,私たちが既に受け入れられ,今こうして在ることの有り難みを感じていると,自然と笑顔になるような出来事が起きる流れを生み出すことに繋がっていくのです。
最後までブログを読んでくださり,どうもありがとうございます。